東方考察・八雲紫について

その1 求聞史紀=幻想郷縁起を阿求が書き続けているわけ

 妖怪というのは謂われが命なので、正体不明な方が強力である。(仮定条件)
 求聞史紀=幻想郷縁起は幻想郷中の人妖について詳細な記録を残した物である。詳しくその存在や由来について記述される事は、妖怪を無力化する行為である。つまり、正しく阿求はペンは剣よりも強しを地で行っている。
 真実を全て書かず、紫の検閲を通っている事は、人妖のバランスを取るため。例えば、人間側のキャラクターは正体不明のように記述されている点など。

その2 東方永夜抄東方儚月抄は表裏一体

 八雲紫が自ら異変解決に出向いた作品は、萃夢想永夜抄、緋想天の三作。
 萃夢想に出張ったのは萃香の監視と考えられる。
 緋想天では完全に想定外かつ本気で比那名居天使に怒りをぶつけていた。


 永夜抄では4組の強大な人妖が出張ってきた事から、相当な大事だった事が解る。
 文が月を隠される事より夜を止められる方が大事だったと言っていたのは政治的な理由からと思われる。
 そうでありながら、八雲紫は永琳や輝夜に怒りをぶつける事はなかった。


 月を隠される事自体よりも、月を隠すような強大な力を持った存在の正体が不明である事が、八雲紫にとっては都合が悪かったのではないかと思われる。(恐らく星蓮船までの幻想郷在住キャラクターは(外から来た人除く)八雲紫にとっては当然把握済みであると考えられる)正体不明の妖怪は厄介な存在だが、相手の正体さえ解っていれば「境界を引く」事が出来る。そうなった存在は紫にとって(強大ではあっても)さほど脅威ではなくなる。
 儚月抄で紫が永琳に恐怖を植え付けようと試みたのは、自らを「正体不明」の存在に位置づけ直す(境界を引き直す)行為だったと解釈できる。