国辱物

 SAYURI。全く期待してなかったが、予告編が良さそうだったので観に行った。渡辺淳一が国辱物呼ばわりしているというのだからコレは絶対観なくては! 的な勢いで。Yahoo!映画でも酷評の嵐だったので、半ばネタで。


 オープニングからさゆりが芸者デビューまでの下りは流石に「えーこんなんありえねー」とか真面目につい観てしまいましたが、「これは日本じゃないんだ。遠いパラレルワールドの映画だ」と思い込む事で考証至上主義視点からは取り敢えず離れて鑑賞する事が出来ました。大体、日本人の時代劇考証も結構テキトーですから、マジで考証にツッコミを入れる事自体が野暮ってもんです。そう思ってみればそんなに腹も立ちません。多分。ていうか、多分原作もこんな感じなんだなと思い込んで観ていました。寧ろ、日本人は、外国人をして日本文化の作品を作らせようとする自国文化を誇る位の気持ちでちょうど良いと思います。ブラザーズ・グリムで英語喋るグリム兄弟位の気持ちで生暖かく見守って上げて下さい。


 で、肝腎の内容ですが、この映画ってヴィジュアル系映画を狙って作ってる割にヴィジュアルがショボい。着付けがテキトーなのはしょうがないとしても、せめて着物の色合わせ位何とかならなかったのかと言いたい。劇中で良い着物良い着物を連呼されても、どれも良い着物と思える着物は一着も無かった。ぶっちゃけ、美的センスは日本文化を理解してなくても或る程度は伝わるだろうに。着物に関心のない有我視点をしても酷い着付けでしたが、着付けをちゃんとしていても全然良い着物でなかった事だけは間違い有りません。後、HERO狙ったの? みたいな戦後の河原でのシーンも、あの色合いで曇り空では端から負け決定気味。作る側がもうちょっとチャン・ツィイーをキレイに魅せよう! という拘りがあれば良かったんだけど、あんまり無いですね。ミシェル・ヨーは結構綺麗な人だなあ、と思いましたが、あの格好じゃまるっきり女郎みてぇ。


 とっても酷評している様に見えるかと思いますが、日本人役者陣の演技はかなり良かったです。寧ろ彼等によって救われていると言っても過言ではないですね。おカボ役の工藤由貴は個人的に助演女優賞あげたいインパクトでした。彼女、ハリウッドで活躍する前のイメージしかなくて、女優としての彼女を見るのは今回が殆ど初めてに近いんですけど、スゴイよ。役所広司も良かったけど、愛ルケ出ちゃうんだよなぁ。ううむ。愛ルケ。嫌だ。今からでも遅くないです(まだ言うか)渡辺謙はぶっちゃけ割とどーでも良かったです。


 結論から言うと、工藤由貴が好きな人は観ても良いです。(そこかよ!)