サハラ

 今年の映画は粒ぞろいです。去年の不作振りが信じられません。去年比較的当たりだったいくつかの映画(数えられるほどしかない)でも、今年の「まあ佳作」レベル。で、この映画は、間違いなく今年では超当たりクラスでしょう!


 あたしはスペイン系美人というのが嫌いなので、ペネロペ=クルスはぶっちゃけ相当どうでも良かったのですが、他のキャストは比較的無名な人が多い中、なかなかのキャスティングではなかったかと思います。マシュー=マコノヒーのワイルドさにはあれって感じでしたけど(ていうか、マシュー=マコノヒーのイメージって「アミスタッド」しかなかった(笑))とにかく、スティーブ=ザーンがメチャ良すぎです。彼はブレイクするに…(未だ言うか!)パンフにもあったけど、主役が全部美味しいトコ取りじゃなくて、脇役がちゃんと生きている映画。脇役好きにはたまりません。でもパンフレットでは悪役の将軍や何とか族の族長は無視かよ! 知りたかったのに!


 緩急自在の展開に、アル(スティーブ=ザーン)とダーク(マシュー=マコノヒー)のボケツッコミ、もとい掛け合い漫才(ゑ)を初めとしたユーモアをしっかり鏤め、最後まで楽しませてくれました。最後のシーンで(ネタばれですが)マシュー=マコノヒーが「ナヨナヨばくだん投げてた」では笑わせてくれました。ユーモアやコメディ的な要素がしかし、アクションを邪魔せず、ドキドキ感やネタふり(=伏線)を巧く活かしていました。
 それにしてもランベール=ウィルソンってフランス人の悪党をやらせたら右に出る人いませんね。


 しかし、この映画で特筆すべき点は、実は音楽と映像。監督がディズニー会長の孫だとは知りませんでしたが、若いのに才能がある監督ですね。映像の観せ方が素晴らしい。私は割と映像重視っぽい映画の見方をする方なのですが、映像の綺麗な映画としてもすごく楽しめました。朝日の中、村人の墓を作り弔うシーンは本当に美しくも悲しく、観る側にインパクトを与えたと思います。一番おおって思ったのは、何を隠そうOPでダーク=ピットの部屋(? 葉巻があったからサンデッカー提督の部屋かも)を舐める様に映したシーンでしたけど。あれはホント格好良かった。


 今年はデンジャラス・ビューティ2といい、サハラといい、名作として残りそうな映画があまり宣伝されずに興行成績を残せなさそうなのが、何とも勿体ないです。