オリバー・ツイストとフライトプラン

フライトプランを色々とつっこむ

 もう全国の映画ファンがツッコミ捲ったので今更という気がしなくもありませんが突っ込まないときが済まない。それほどまでに穴まみれのサスペンス。謎解き的要素もあるにもかかわらず謎が解けた途端みんながっかり。捻ってあるないとかの問題ではありません。ぶっちゃけて言うに「飛行機」という密室空間の設定や、主人公が飛行機の内部構造を知悉しているという設定が全く生きてません。つーか監督、映画の前半見てねーだろこれ。


 この映画は厳密には推理物ではありませんが、この映画を見たらきっとエラリー=クイーン翁二人組はあまりのアンフェアさにぶちきれること疑いなし。酷ッ! 前振りとしてあった、窓際から覗く男達とか従業員達の思わせぶりな表情のカットは全く意味がありません。別の伏線ですらない。嫌がらせですか。こういう無意味な前振り→引っ掛けは謎解き要素のある作品では夢落ちオカルトオチと並んで最もやってはいけないと思います。元・*1実践オカルティストの私が言うセリフでもありませんが(笑)一番怪しくない者が怪しいって単なる裏の掻き合いでしかなく知的昂奮一気に醒めまくり。しかも意味深なしつこいくらいの前半の前振りからすれば、呆れ果てる程ショボい犯罪です。あんだけしつこく前振りされたらもっと大きなバックボーンのある陰謀劇だと普通思うわけですよ見る側は。せっかく一度ジョディが反撃に出て(という言い方も厳密にはおかしいが)これから盛り上がるかってところでまたジョディ捕まっちまって、観ている側のストレスが極限まで溜まったところで明かされる事件の全容のショボさ。最後のシーンも金かけてないなって感じでがっくりです。ていうか、結構な量のプラスティック爆弾が何故爆発しないという保証があったのか、それは(後から)推測は出来ますが、そこはちゃんと前振りをして提示しなければ後出しジャンケンです。


 というか犯人の犯罪はぶっちゃけ成り立ち得ません。


 どうやって一人の人間の登場記録を三人だけ――フライトアテンダント×1、葬儀屋×1、保安官×1――で消せるんだよ。幾ら何でも搭乗記録がないって言う時点で嘘臭いよ! この映画より随分前の名古屋空港だって既に搭乗は電子処理していた筈で、そのデータをどうやって改竄するのか監督と脚本家を呼んで問い詰めて序でに詰って*2みたい気分です。葬儀屋が実はハッカーだとかクラッカーだとか言いたいのか。


 幾ら密室だからって隣に子供乗ってたら解るだろとかフライトアテンダントが保安官に話しかけられた時の対応は第三者から見ても不愉快というか知らない人が見たら酷いアテンダントだときっとクレーム付けると思います。身内だって言う前振りかもしれませんが、この映画、アメリカの客室乗務員の労働組合(AFA)が配給元に抗議したらしいです。そりゃフライトアテンダントがみんなこんな奴らだと思われたらたまらんわな。って良く見たらこの映画ブエナビスタだよ! ディズニーじゃん!


 ディズニーの映画観ちゃったよ……(TxT)*3


 ディズニーだと知ってたら観ませんでした……。凸(`x´メ)Fuck it!!!

オリバー・ツイスト

 原作知りません。しかし、原作を読もうとは思いませんでした。


 主要事件だけを表面だけ綺麗になぞりましたという要するにハリー・ポッターの映画化と五十歩百歩なのですな。映画にする必要があったのか?
 それなりには楽しめましたが(オリバー役の少年が可愛い!)オリバーは何の努力もせずただ運と可愛さだけで助けられててこんなの有り得ねー! 映画で人間の内面を描くのって難しいのかもしれませんが、だから何という感じで一杯です。可愛い者勝ち。サドの小説だったら善良で可愛い少年は悪党に捕まって散々犯された挙げ句に串刺しか火あぶりかピストルでドタマぶち抜かれた後穴に埋められるか肉喰われると相場が決まってるのに。ちぇ。美少年は幸福になるの法則かよ! って別に可愛いから幸福になったわけじゃないんだろうけど特別オリバーが積極的に善行を行った訳でも何でもないので何でこいつがこんなトントン拍子に……という気持ちが解らなくはないです。一から十まで幸福だったわけではないんでまあよしとしましょう。おそらく原作ではその辺がちゃんと描かれているけれども映画ではさっ引かれているのでしょう。そうだそうだ。ラスト前のドラマティックなシーンも故にあんまり説得力がありません。


 この映画で一番がっかりしたのは首吊りのシーンをもっとドラマティックに描いて欲しかったって事です。否フェイギンじゃなくてその前。(名前忘れちゃったよ)PG-12を付けない為なのかもしれませんが犬に吠えられて驚いて足を滑らせて首釣っちゃった、らしいっていう曖昧な、映像的にしゃっきりしない出来映えになってます。勿体ない。個人的にブルズアイは可愛かったです。全然凶暴じゃないっすよわんこ。一匹欲しいよブルドック。ブルドック好きなんで奴に免じてそこそこ、という評価にしておきます。あの当時の風俗などが垣間見られるのは嬉しいです。結構ヨーロッパ時代劇系(?)の映画は好きなので。ただ、少なくともこんなしょうもない映画でアカデミー賞は狙わないで欲しいです。

*1:最近殆どやってないので(-x-;)、付け加えてみました。とか言う厚顔無恥な羞恥心。

*2:後者は「なじって」と読みます。

*3:有我さんは筋金入りのアンチ・ディズニーです。